発売間もない本体は普及台数が少ない
新型ゲーム機の発売から数年はあまり新作が発売されません。ゲームの開発期間もありますし、何より発売しても採算が取れない、というのが当たり前。
1000万台普及しているゲーム機と、100万台普及しているゲーム機では同じソフトを出しても当然売れ行きも違います。それなら普及台数の多い(=ユーザーの多い)ゲーム機で投入しようぜそうしよう…
こんな話がゲームメーカーの中であったかはわかりませんが、一般的には普及台数の多いゲーム機に新作を投入する流れです。ただ、それが本当に正しいと言えないんじゃねー? と、あるゲームを見て感じます。
74万台普及の本体で、14.7万本を売り上げた、あるゲーム
そのゲームソフトは発売から約7ヶ月、74万台しか普及していなかったゲーム機で発売し、発売日から4日間で14.7万本を売り上げました。計算してみると5人に1人が買った計算になります。
これだけでも驚異的な数値なのですが、発売から2ヶ月後の数値を見てみるともっとすごいことになっているんです。
発売から約2ヶ月の8月半ばの数値を見てみると、そのゲーム機の普及台数が84,9万台に対し、ソフトの売り上げた20,8台になっていたのです。これを計算してみると…なんと、VITAを持っている人の約4分の1(24,4%)もの人が買った計算になります。恐ろしいまでの数値です。
さて、そのゲームとは何でしょう?
正解は…
『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』[VITA]です。
本作はPS2で発売されたペルソナ4に3学期や新エンディングなど数々の追加要素を加え、HD画質で楽しめるようにリメイクされたものです。発売前に放映していたアニメ効果も功を奏して、PS2版を遊んでいた人はもちろん、新規ユーザーも数多く手にとりました。
ふつう、新作ゲームは発売から2週間もすれば売れ行きは落ち着きます。中古を扱っているのでわかるのですが、そこから遊び終わった人がじょじょに買い取りに持ってきて、お店も中古にシフトしていくのが通常の流れです。
しかし、ペルソナ4Gの場合は事情が違います。
ずーっと『新品が』売れている
これです。2012年6月に発売してから、現在(2013年11月)まで1年5ヶ月。
その間、『常に新品が売れ続けている』んです。これははっきりいって異常事態です。
20万本以上も売れているゲームなら、1年も経てば買い取りで在庫が戻ってきて中古在庫がある程度溜まるのが普通です。しかし、本作はまったくと言ってイイぐらい中古在庫が貯まりません。そして新品が売れていく…。
新しくVITA本体を買う人で、ペルソナ4Gを買っていく人はけっこうな割合で存在します。VITA本体を買う目的としてペルソナを遊ぶため、という人ですね。もちろん、他に目当てのゲームがある人もいますが、そういう人はんじゃ次はペルソナ買うかー、という風に2本目に買うゲームとしても選ばれやすいです。
高い完成度が評価され、長く売れる要因に
ペルソナ4Gはアトラスのペルソナスタッフたちが新作を作りかねない勢いで開発に力を入れました。普通、新型ゲーム機の発売半年後に、リメイク版とはいえ自社のメインタイトルを投入するのは異例でしょう。
しかし結果としてはVITAでNo.1の売り上げ本数となっています(2013年11月12日現在)。新しいゲーム機だったVITAは当時、発売しているゲームがかなり少なかったため、選択肢としてコアゲーマーを中心に選ばれやすかったことがスタートダッシュの大きな要因です。
しかしそこから1年半も売れ続けたのは、それ以上に口コミでの評判が大きいと思います。面白かったペルソナ4を、さらに完璧なものに仕上げてあったため、遊んだ人やネットのレビューは軒並み高評価。
これらの評価を見て、さらに買う、というスパイラルが起きていることは容易に想像できます。事実、友達にも「ペルソナ4G、めちゃ面白いから遊んだほうがいいよ!」と伝えたくなるような出来です。リメイクという枠に囚われず、1から見直すぐらいの勢いで製作したアトラススタッフの手腕と本気度は見事と言うしかありません。何より、それを発売すぐの新型ゲーム機に投入する、という判断が素晴らしいです。
普及台数に応じて投入するプラットフォームを決めるのは、『受け身の戦術』です。しかしペルソナ4Gは『攻めの戦術』を取ったことが功を奏したのだと思います。もちろん、自分たちの作ったゲームで本体を牽引する自信があったんでしょう。
新型ゲーム機の普及期は逆にチャンス
ドラクエやポケモン、モンハンなどライトゲーマーにも遊ばれるゲームは本体の普及台数が売り上げ本数の鍵を握ります。しかしコアユーザー向けのタイトルは本体の普及台数が少ない時期に発売するのがチャンスではないでしょうか。事実、ペルソナ4G以外でもVITAで売り上げを伸ばしたタイトルはあります。(『閃乱カグラ VERSUS』とか)
そして、共通するのはしっかり作り込みがされている『本気のタイトル』ということ。メーカーによっては本体が普及してから投入する姿勢を崩さないところもありますが、あくまで本体を引っ張るのはゲームソフトです。ユーザーに高い評価をされる作り込みがされているタイトルであれば、本体の普及台数は意外と苦にならないことはペルソナ4Gが証明していると言えます。
普及期のタイトル投入は愚策ではありません。むしろチャンスです。良策です。そもそも、ゲームを知ってもらうという点はライバルがいない分、注目度はメッチャ高いです。が高くなり手にとってもらえるチャンスす。何よりその攻めの姿勢にユーザーは「おっ!」と思い、出来が良ければさらに惚れ込みます。受け身の姿勢ばかりのメーカーさんは一度考えてみたほうがいいですよー!
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