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【レビュー】エメラルドドラゴン[PC]。王道ストーリーを卓越した演出が盛り上げた名作RPG。

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1989年にパソコンで発売したRPG

まだスーパーファミコンが出ていなかった時代。

ゲーム機としての能力はパソコンのほうが高く、ファルコム、コナミ、スクウェア、コーエーなどが名作と言われるゲームを次々に発売していました。

例えば、ファルコムなら『イース』シリーズや『ドラゴンスレイヤー』シリーズ。コナミは小島監督が手がけた『スナッチャー』。スクウェアは『ジーザス』。コーエーは『信長の野望』や『三國志』。中には今でも続いているシリーズもありますね。

当時はそれぐらい、PCゲームが活況に満ちていました。

 

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そんな中、発売された1本のRPG。メーカーとしては無名だったものの、雑誌で何ヶ月にも渡って特集や攻略記事が組まれるほど出来が素晴らしいものでした。他機種に移植もされ、ドラマCD化もされるなど、ちょっとしたメディアミックスもあるなど人気を博しました。

それが、エメラルドドラゴンです。

 

当時トップクラスのイベント演出

エメドラと言えば、美しく見事なグラフィックと、それを活かしたイベント演出。これらは当時のRPGにおいてトップクラスでした。

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豊富な文章に加え、1枚絵をただ見せるのではなく、部分部分をアニメーションさせて動きを付けるなど細かい配慮もされていましたね。長いシーンでもまったく飽きず、逆に夢中になって画面を見入るぐらいの力がありました。

 

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オープニングの1シーン。

世界観、状況、主人公とヒロインの生い立ちなどがスッと頭に入ってくる、非常にわかりやすい作りです。音楽も含め、今でもはっきりと思い出せるぐらい好きなシーンです。

また、目パチやメッセージ表示に合わせた口パク演出なども凝っていました。メッセージ音の高低でキャラごとの区別を付けるなど、音声がまだ入らなかった時代の工夫が見られます。

 

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目を明けているヒロインの「タムリン」。主人公アトルシャンからもらった角笛を吹く場面です。ここでスッと目を閉じるんですが、まぁこれは本当に好きというか、自分の中では一生忘れない名シーンです。

 

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目の部分が閉じるだけの演出だったんですが、そのスピードといい、音楽とのリンク度合いといい、感嘆の声をあげてしまうぐらい素晴らしい演出です。

これらの演出は全編通じてしっかりと形作られており、キャラクター、ストーリー主導型のRPGの先鞭をつけたゲームでした。

 

容赦なく死んでいく仲間たち

ストーリー展開は王道ですが、容赦はありません。

出会った仲間たちは主人公たちと交流を重ねつつ、絆を深めていきます。そのため、やってくる別れの時はなんとも言えない気分になりました。

 

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バギンとかヤマンとかいましたねぇ…特にヤマンの死は大ショックでした。

多くはイベントシーンでしっかりと描かれるため、プレイヤーも悲しみに浸る時間がありました。ただ、中には戦闘中に離脱してしまうキャラも…。

 

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魔軍に対向するレジスタンス最強の戦士、カルシュワル。仲間になるキャラのうち、最高のHPを誇る強さを持ちます。しかし、敵の放った呪詛を防ぐために、その体で呪詛を受けるのですが…

 

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カルシュワルは、逝った。

体が砕けたとか消し飛んだとか具体的な記述は一切なく、この一文のみが表示されたのです。他のキャラとまったく違うこの死に様は本当に衝撃的でした。RPGにおいて、これほど「逝った」という言葉を効果的に使ったゲームは他に無いでしょう。

他にも仲間が囚われて死んでしまったように思わせるイベントもあり、プレイヤーの気持ちを盛り上げつつ涙させる手腕は見事でした。

 

キャラへの思い入れが深くなる『相談』コマンド

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今でこそ珍しくない、パーティメンバー同士での会話。テイルズシリーズでは、スキットと呼ばれていますものです。

本作では『相談』という、イベントの進行度や状況に応じて会話ができるコマンドが存在しました。会話種類はかなりの数、存在したため、ストーリーが進行するたびに相談コマンドを行っていましたね。

 

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これにより、キャラクター1人1人の個性がしっかりと打ち出され、大きく感情移入することができました。

 

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▲ツンデレキャラのファルナ。昔はツンデレという言葉はありませんでしたが、一途な面とときおり見せる弱さのギャップから、人気は非常に高かったです。

今でこそ仲間同士の会話というのは当たり前になりましたが、1989年当時としては内容、量、ともに非常に充実していました。本システムはまちがいなくエメドラの人気につながった要因の1つでしょう。

 

最後まで一瞬も飽きなかった1本

自分にとってRPGの最大の魅力は物語。先を見たくなる一番の原動力になるからです。

そして、このエメラルドドラゴンは先が見たくなるように、プレイヤーの気持ちを刺激しまくりでした。

 

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生き生きと描かれた個性的なキャラクターや数々の印象的なイベント、全体のストーリー流れとエンディングの清々しさ。どれもが高い完成度であり、心の奥底に刻まれています。

ストーリー主導型のRPGが好きな人にとっては、今プレイしてもかなり楽しめると思います。

 

本作は他機種に移植はされたもの、リメイクはずーっと行われないまま今日まで来ていました。

ただ、本作のイラストを担当した木村明広さんがエメラルドドラゴンの新しいプロジェクトを立ち上げました。

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クラウドファンディング(ネットを通じアイデアを公開し、資金を調達する仕組み)でまずはドラマCDの製作を目指すとのこと。

発売から25年たって新プロジェクトを始動するというのは、考えてみるとすごいことです。本作に対しての熱量が失われてないってことですからね。こんなに作り手やプレイヤーの心に刻まれているのは、名作たる証でしょう。

 

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新プロジェクトをキッカケに、本作の続編が世に出ることを心から祈ってます!

 

(2015/06/01追記)

エレメンタルドラグーンのクラウドファンディング、スタートしました。 終了日は8月20日!(木村明広×保志総一朗 エメドラ続編『エレメンタル・ドラグーン』ドラマCD製作プロジェクト始動!

 

【関連サイト】

エレメンタル ドラグーン 2つの光

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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