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【レビュー】スナッチャー[PC]。今でも語りぐさになる、小島監督の『とある仕掛け』

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初代メタルギアの翌年に発売

世界的に有名なゲームクリエイターである、小島秀夫さん。小島監督と呼ばれ、映画的な手法をゲームに取り入れたことで知られています。

氏がMSXで初代メタルギアを世に送り出した1987年。その1年後、再び氏が手がけたのはアドベンチャーゲームでした。

 

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スナッチャー(1988年 PC-8801他 移植多数)

現在(2015年)から実に27年前。若い人にとっては、生まれる前のゲームのため、今ひとつ想像しづらいかもしれません。

本作はコマンド選択式のアドベンチャーゲームで、今は見かけることが少なくなったタイプのシステムです。おしょ~はリアルタイムで遊んでいたのですが、当時のアドベンチャーの中でも特に面白かった1本です。

 

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人を殺害し、その人物にすり替わって気付かれず生活を続ける謎のアンドロイド『スナッチャー』。これを処理する『JUNKER』という職業についた主人公を操作し、数々の危険な任務、謎を解くことになります。

世界観は映画『ブレードランナー』をモチーフにしており、かなり似通った設定が見受けられます。今だと権利の問題がいろいろ絡んできそうですが、ゲームの黎明期はそのあたりはあいまいというかカオスな時代でした。

 

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出てくるキャラクターは男性はもちろん、女性陣も今のように萌えキャラではなく、年齢層がそこそこ高めのキャラが多かったです。

当時はまだゲームに萌えという概念はなく、美少女ゲームもPCですらほとんど発売していなかった時代です。総じてハードボイルドや硬派な推理モノなどが多かったように記憶しています。

 

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本作はコマンド選択式ではあったものの、スナッチャーの謎を解く、ということでモンタージュ写真の作成や、証拠の解析などを行うシーンが存在。これにより、謎に一歩一歩近づいていく感じがよく出ており、臨場感はトップクラスに高かったです。

 

プレイヤーを意識した、とある『仕掛け』

プレイした人が今でも語りぐさにするイベントがあります。

同僚を追ってとある工場跡に突入した主人公。同僚が敵にやられた無残な現場を見たあと、パートナーである『メタルギアmk2』が何かに気づきます。

 

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「…ほら、何か聞こえます」

「何も聴こえないぞ…」

「PCのボリュームをあげてみて下さい」

この通り、パソコンのボリュームを最大近くまで上げると、何かカチカチという音が聞こえてきます。犯罪現場で聴こえるカチカチ音と言えば…そう、アレです。

 

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時限爆弾!

この時点でプレイヤーの緊張感は一気にMAXになります。とにかく早く脱出しないと!と思ってきた道を戻るのですが…

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敵の妨害にあい、銃撃戦をすることに。早く倒さないと倒さないと! プレイヤーにジリジリとした焦りが生じる中、敵を倒して急いで外にでると…

 

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ドドドドドドッッボオボボッカーン!

 

最大に上げられたボリュームにより、爆発音がMAXでプレイヤーの耳を直撃!

これには、心臓が飛び出るぐらいびっくりさせられました。全国で数多くのプレイヤーが同じ目にあった、今でも記憶に強く刻まれてるイベントです。

プレイヤーは音に気づいた時点で緊張感はMAXです。そこからボリュームを戻そうという思考にはなりません。銃撃戦もあり、頭から音量の事が綺麗さっぱり忘れてる中、炸裂する爆発音。作り手の意図した流れに遊び手が完璧にハマったシーンです。

小島監督作品に見られる「プレイヤーの心理を想像し、驚かせるための仕掛け」は、この時点ですでにいろいろ盛り込まれていたんですね。

 

普通のアドベンチャーゲームに無かった高い緊張感

本作はスナッチャーの謎を追うため、いろいろな場所で捜査をし、時には銃撃戦をして戦っていくことになります。普通、アドベンチャーにおいて、プレイヤーが操作する銃撃戦シーンがある、というのは今でもなかなか無いでしょう。

1988年にそれを実現していたあたり、小島監督が本作をいかに飽きさせないように考えて作っていたかがわかります。

 

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同僚が殺害されていたシーンで、コマンドをひと通り選びつくすといきなり建物奥に動く人影。この時点で緊張感がグッと高まります。その後に、先述した爆発音のイベントがあるため、序盤のつかみとしては完璧な流れです。

 

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忘れはしない、日焼け止めの発見シーン

スナッチャーが使っている人工皮膚。その欠点を補うための日焼け止めでした。この瞬間のドドーンという効果音、そしてその後に迎える展開は、手に汗握るという言葉では表せない緊張感がありました。

人に成り代わっているスナッチャーは、人間そのものであり、初対面で見破るすべはありません。だからこそ、捜査でスナッチャーだとわかったときの衝撃度は非常に高かったです。意外な人物が成り代わられていることもあり、最初から最後まで、先が読めないシナリオは本当に見事でした。

 

小島監督が関わったのはPC88、MSX2、PCエンジンの3種類

数々の機種に移植された本作ですが、小島監督が直接開発に携わったのは上記の3種類です。

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開発期間が長期に渡ったことにより、PC88とMSX2版は物語が一区切りついたところ(ACT1,2)でエンディングとなりました。PCエンジン版はACT3まで収録。スナッチャーの存在についての謎も解き明かされます。

 

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ただ、PC88版やMSX2版も名作と呼ぶにふさわしい出来です。物語的には謎が残るものの、1つの映画を見終わったような満足感がありました。

映画的手法を取り入れた結果、ゲームでも映画と同じぐらい高い満足感が得られることを証明した、アドベンチャーゲームの傑作です。

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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