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ロールプレイングゲームサイドVol.1。RPGの歴史を知る上で必読の一冊。【ゲーム関連本レビュー その13】

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2014年に発売したRPG専門誌

今日はいい本を読むことができたので紹介します!

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ロールプレイングゲームサイドVol.1(2014年 マイクロマガジン社)

ゲームサイド編集部が手がける専門誌です。

ユーズド・ゲームズ→ナイスゲームズ→ユーゲー→ゲームサイドと変遷をたどっており、一般のゲーム雑誌などとは毛色が違います。特定シリーズの徹底特集やレトロゲーム、はては同人ゲームまでを取り上げる専門性の高い内容が特徴です。

今回はメタルマックス特集、ということでシリーズに思い入れのある人には必読と言える内容です。

 

しかし、おしょ~にとって衝撃的だったのは、とある白黒ページの特集でした。

 

『真説・コンピュータRPGの起源』

と銘打たれた特集。コンピュータRPGの起源とえば、『ウィザードリィ』『ウルティマ』『ローグ』などが挙げられることが多いはず。もっとくわしい人なら、ウルティマより前にリチャード・ギャリオットが作った『アカラベス』の名が挙がるかもしれません。

しかし、本書ではそれよりもっと前に存在したRPGたちを特集しています。どれも名前を聞いたことがないレベルであり、初めて知るものばかりでした。

 

ウィザードリィやウルティマよりもっと前に存在したRPGたち

PLATO。

世界初のコンピュータ支援教育システムであり、インターネットが普及するより前に、ネットワークで世界各地の端末をつないだシステムです。

当時、アメリカの大学ではこのPLATOを使い、いろいろなゲームが作られていたそうです。教育用だったのですが、若い学生が使えば遊び心が働き、こっそりとゲームを作っては遊んでいたとのこと。

全稼働時間のゆうに20%がゲームプレイに費やされたということから、今も昔も学生のノリは変わってないのかもしれません。

 

本書ではそこで作られたゲームを、画面写真付きで紹介しています。上記は『Pedit5』と呼ばれるRPG。このゲーム、数年前までまったく忘れ去られていたようで、ゲーム内容が判明したのは2011年とのこと。現存する最古のコンピュータRPGだそうです。(驚くべきことに、今でも遊べる!)

内容は見下ろし型のダンジョン探索ゲーム。一度死んだら、キャラクターデータが消失するというあたり、ゲーム的には『ローグ』の原型といえます。

 

pedit5

▲ネットであったpedit5の画面写真。キャラクターの姿や宝を守るドラゴンなど、意外にしっかりしています。

1975年に作られた、ということなので2015年の今から数えて実に40年も前にプレイされ、学生たちを夢中にさせていたんですね。

 

そんな事実が37ページに渡ってガッツリ記載されています。白黒ページであり、ほとんど文字ばかりなので読むのは大変…と思いきや。ぜんぜんそんなことありませんでした。

今まで知らなかった、ゲーム黎明期のさらに前。大学のメインフレーム内で息づいていたRPGの姿を知識として自分の中に取り入れることができる。その喜びが大きいため、これだけの文字量はまったく苦にならなかったです。

 

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少ない画面写真も逆に想像を掻き立てる感じでいいですね。特集後半にある『黎明期CRPGの系譜』はパッと見でそれぞれの関係性がわかるので、資料としてもかなり価値が高いです。ウィザードリィ、ローグ、ウルティマの御三家が実はこれらの流れに沿って生まれた新しいゲームだった、ということがわかるのも素晴らしいです。

 

RPGの歴史を知る上で、貴重な資料となる1冊

本書には今まで一般的に知られてきたRPGの歴史に一席を投じる事柄が細かく書かれています。

ウルティマを生み出したリチャード・ギャリオット氏が初めて作ったRPG『DND #1』の存在や…

 

ウブリエット ウブリエット2

1979年に存在したマルチプレイヤー・オンラインRPG『Oubliette(ウブリエット)』。

ウィザードリィで見られるような『一人称3D視点』『パーティを組む酒場』『扉の向こういる固定モンスター』『未確認アイテムの鑑定』などの要素が盛り込まれていた、など。

そしてウィザードリィの生みの親である、ロバート・ウッドヘッド氏がテストプレイヤーとしてこのゲームにハマりすぎ、1年間休学した間にウィザードリィのプログラムを行ったこととか、今まで知らなかった事実が恐ろしいレベルで載っています。

 

特集の最後には、実際に当時これらのゲームを開発していた本人へのインタビューまで掲載。日本はもちろん、外国のサイトや文献にも掲載されていないということなので、どれだけ貴重な内容が載っているのかわかるでしょう。

RPGの歴史を知る上で、超貴重な内容が詰まっている『ロールプレイングゲームサイドVol.1』。全力でオススメの1冊です!

 

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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