工画堂スタジオが開発したSFウォーシミュレーション
現在はギャルゲーや女性向けゲームを製作している会社『工画堂スタジオ』。元々はデザインを行う会社で設立はなんと1916年!
ソフトウェア部門は1982年に設立。日本ファルコムの創業と1年しか変わらないという老舗PCゲームメーカーです。家庭用では『蒼い海のトリスティア』『白衣性恋愛症候群』などを発売しています。
その工画堂スタジオが作っていたSFシミュレーションゲームが本作です。正式タイトルは『狂嵐の銀河 シュヴァルツシルト(Schwarzschild)』。
当時はPCゲーム全盛の時代であり、ファルコム、コーエーを始め多くのメーカーがゲームを作る中、1988年に本作は発売されました。
SFものは当時としては珍しくありませんでしたが、自由度をある程度制限し、シナリオの流れを作ることで他シミュレーションとは違うドラマティックな展開が楽しめました。おしょ~の兄が購入し、兄弟揃ってかなりの時間夢中になったゲームです。
難易度:絶望。鬼畜。死ぬがよい。
当時のゲームの難易度ってちょっとヘンだったんです。
普通、難易度って『クリアできることが前提』じゃないですか。しかしこのシュヴァルツシルトは違いました。
進め方を間違うと絶対にクリアできない
んです。そんなのアリ?
戦略シミュレーションなので普通に進めていくといろいろなイベントが起こります。いきなり強国に宣戦布告されたり、反乱が起こったり。
で、普通ならなんとか勝てるようバランスを取るところ、本作は『普通に進めていたら勝てない』んです。
「このタイミングで攻められるから、いつまでに○型戦艦に開発を終えて量産しておかないと。それには小惑星探査をこのタイミングで…」
みたいに、先に起こる出来事を知っていて対応しておかないとダメなんです。この仕様のお陰でシミュレーションなのに死んで覚えるというアクションゲームみたいな難易度になっていました。
反乱軍に勝てるようになったら、次は大国との戦闘が。大国にも勝てるようになったらまた次の大国と。勝てない状態で戦闘になるとどうやっても勝てません。
泣く泣くリセットし、最初からプレイする。その繰り返しなので、ゲームバランス的には良いとは言えません。しかし、逆に言うと先を見越して行動することで、確実に突破できました。それが快感だったのでプレイ意欲が衰えなかったんです。
ラストに待つのは究極の絶望
ラストに待つ敵は人類ではなく、『クラーリン』と呼ばれる宇宙生命体でした。
このクラーリン、それまで開発していた最高の戦艦でも太刀打ちできません。木っ端微塵に打ち砕かれていく最新鋭戦艦を見た時は、さすがにダメだと思ったものです。
しかも人間の住む星を次々に異形の惑星に変えてしまう能力を持っている上にやられてもやられても無限に湧いてくるという…おどろおどろしいBGMと共に進行してくる絶望感はハンパなかったです。
クラーリンの要塞。コイツを倒せばエンディングでした。クリアまで何度やり直したかわかりません(;´Д`)
絶望的な状況の中、ある程度攻めこまれないと新型戦艦の開発が可能にならないというのも鬼畜っぷりに拍車をかけていました。開発者は間違いなくドSです。
新型戦艦を開発し、数を揃え、上手くクラーリンを誘い込み、本星を撃つ。何度もやり直した苦労が実を結び、撃破に成功したときはものすごい達成感でした。
普通、シミュレーションゲームは中盤以降だとほぼ消化試合になるところがあります。ただ本作は自由度を制限しているかわりに、最後まで大きな壁が立ちふさがります。なので、モチベーションは最後まで高いままプレイすることができましたね(*´∀`)
続編は5まで発売
本作が好評だったため、続編もつくられました。
2の『帝国の背信』は1以上にやりこんだ1つです。各国首脳のグラフィックが追加されたり、対惑星と対艦隊の艦隊に別れるなど、いろいろ進化していましたね。最後はやっぱりクラーリンが登場し、また絶望を味わうことになります。
そして3の『惑星デスペラン』。
システムは飛躍的に進化しており艦隊の司令官も存在。それまでの色からさらに本格的なSFシミュレーションとして変貌を遂げました。ラスボスはクラーリン、かと思いきや要塞惑星! 惑星が移動して自国の本星に迫ってくる姿、そしてその硬さに再度絶望することになります。
3ではシナリオ面でも衝撃的な展開がありました。『主人公側は正義で必ず最後は勝って終わる』という常識をひっくり返すエンディングであり、自分にとってはファンタシースター2に続き大きな衝撃を受けました。いずれ紹介したいと思います。
シリーズは5まで発売しましたが、5があまり評判が良くなかったのと、PCゲーム市場も縮小の一途をたどっていたこともあり、それ以降のナンバリングは発売されていません。
今後もシュヴァルツシルトの新作が発売される見込みはほぼ0%でしょう。ただ、プレイした人間にとって、他に類をみない絶望感と達成感を味あわせてくれたSFシミュレーションとして、心の奥底で渋い輝きを放つ1本です。
▲1から4のオープニング。テーマ曲は一流のゲームミュージックですね。宇宙の広がりを感じさせる、大好きな曲の1つです(*´∀`)
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