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『ゲーム専門店』は生き残れるのか?

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5年ぐらいずっと厳しい状態

仕事柄、他のショップの話が耳に入ってくることがあります。

ここ5年ぐらい、景気の良い話はまったく耳にすることがありません。廃業したところも多々あります。アベノミクスの効果もゲーム業界には及んでいないようです。

さて、厳しい理由をおしょ~なりに整理してみます。

 

①ダウンロード販売の普及

小売店、問屋も含めダウンロード(以下DL)販売だと利益は0。メーカーにとってはいつでも販売できる形態であり、流通コストも下げられるため、やめる理由はありません。

 

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ユーザー側も、お店に行かないで買うことができるのは利点です。ソフト入れ替えもしなくて済みます。

パッケージ販売だけだった昔と違い、今はDL販売の割合が増えてきています。コア系タイトルになると、30%を超えるものも存在します。(参考記事:コンシューマーゲームのダウンロード版はどのぐらい売れているのか、他[忍之閻魔帳])

 

DL版の割合が増える=パッケージ版販売減=小売店の利益減

DL版が増えるに従って小売店の利益は減少していきます。先述の理由からこれから先、パッケージ版の割合が回復傾向になることは無いでしょう。インフラ整備がより進み一瞬でゲームがDLできるような時代が来れば、パッケージ版が無くなる日はいずれ来るはずです。

 

※DL版でも小売に利益があげられるようなシステムがありますが、あれ、導入するのにえらくお金がかかるんですよね(参考記事:任天堂の「ダウンロードカード」販売に小売店が不満を漏らす理由)。次に書く②の理由により、中小企業にとって入れるのは難しい状態です。

 

②経営者がゲームという商材に厳しい

経営者は常に儲かる業種を探しています。

あれが今来ている、これが次は来そうだ、という情報には常人よりも何十倍も敏感です。

 

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その逆もしかり、儲からないものに関してはものすごく冷たいです。スタッフはゲームにこだわりがあっても、経営者には商材の1つにしか過ぎません。給料を出しているからには、より利益の上がる商材にシフトしていこうとするのは当然です。

 

雇われている側より雇う側のほうが強いのは世の常。極端な話、経営者は儲かる商材で法に触れなければ何でもOKみたいなところがあります。こだわりも無いため、失敗したら次の商材、業種へサクッとシフトするのはよくあります。逆にこだわりが無いからこそ、多岐の業種に貪欲にチャレンジすることができるとも言えます。

 

会社は利益を挙げることが第一ですから、今ゲームをどうしても続けていきたい、と考えている経営者は数少ないです。逆に利益のあげられる業種へ投資すべきと考えています。

 

ゲームより別の商材を探せ、別業種へシフトしろ、と求められた場合、勤めているスタッフとしては太刀打ちするすべはありません。実際に利益が昨対で120%とか上り調子であれば厳しい目では見られないんでしょうが…。そのようなショップはほとんど無いでしょう。

 

 

③通販サイトの台頭

Amazonが強いです。

Amazonはゲーム以外にもいろいろなものを販売しています。それこそゲームから家電、フィギュア、水や食料品までいろいろなものを買うことができます。

 

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▲Amazonの食料品カテゴリ。フルーツや卵、果ては漬物や納豆まで! 恐ろしい品揃えですね。

 

そしてかなりの数の商品が翌日配送(注文タイミングが早ければ当日)と至れりつくせり。スマホやタブレットの普及により利用者も年々増えています。

 

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割引率もかなりのもの。たとえばコールオブデューティー アドバンスドウォーフェアの値引き価格は1,821円引き(22%)オフ。仕入れ、いったい何%でやってるんでしょうね…(;´Д`)
これも小売店にとって厳しい要素です。

 

 

というわけで。

リアル店舗の『ゲーム専門店』は生き残れません。おそらく5年後には完全に無くなるでしょう。もちろん、ウチを含めてです。(通販メイン、オンリーのところは5年後もまだ大丈夫なはず)

 

生き残るには他商材を扱う複合店になるしかない

ゲームが唯一の商材では生き残れない。

となると、ゲーム以外の商材を扱うしかありません。おしょ~が勤めているPAOでも、トレカ、フィギュアなどゲーム以外の商材を入れる店舗が増えてきました。

 

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▲昭島店は今年7月にトレカを導入しました。トレカは現物を収集する楽しみと、ゲーム性を併せ持っています。また、子供に人気が高いのもゲームと相性が良いです。

 

複合化することで来店動機を増やせます。来店動機が増えれば来客も増え、結果的に売上につながるわけですね。PAO青梅店はトレカ、フィギュア、おもちゃを取り扱いはじめてから調子がかなり良いです。具体的にはかけませんが、ゲーム単体を続けていたらまずムリだった数字をたたき出しています。

 

ゲーム専門店は、その名の通りゲームを中心商材とする店舗です。その意味ではPAOでもまだゲーム専門店と言えるのかもしれません(まだ半数以上の店舗はゲームだけを扱っています)

 

ただ、5年後はメイン商材として扱っていないだろう、と考えるとゲームにこだわりのあるおしょ~としてはかなり寂しい気持ちになりますね。上から求められる仕事もゲーム以外のところが増えてきていますし…40才を手前にしていろいろ考えることが多いです。

 

ただ、ファミコンから31年。ゲームの小売がビジネスとして続いてきたことが珍しいのかもしれません。時代の流れには逆らえませんが、パッケージ版のゲームが出続ける限りはなんとかこだわってやっていきたいですね。

 

 

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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