ファミコンからスマホまでのゲーム音楽の流れを網羅した一冊
発売するのが楽しみだったこの『ゲーム音楽史』。読み始めたら止まらず、最初から最期まで一気に読み終えました。
ゲーム音楽、ゲームミュージックに関する本はかなり少ないです。その中でもこの本は、音源に関する記述が充実しています。各ゲームについての写真はまったくなく、本文中は文字と図のみで記述されているストイックな文面です。
FM音源、PCM音源、MIDI音源など、それぞれにページを割いてあり、ゲーム音楽好きにとっては頭の中の再整理に、初心者は特性を理解しつつ代表曲を知ることができるようになっています。
著者の方が網羅しているゲーム音楽の知識はすさまじく、さまざまなハード、ゲームの曲についての話が盛り込んであります。視点的にゲーム音源、曲の構成についての記述が多いですね。個人的なゲーム音楽に対しての想いなどの文章はかなり少なく、デジタルな分析メインの内容です。
とてもわかりやすい各音源ごとの説明図
本書の特徴の1つがこれ。ファミコン時代からの音源についての解説が図入りで説明されており、とてもわかりやすい記述になっています。
上の画像はPCM音源についての図。各音源の特性や音作りに関してこういった図で説明してある本はなかなかありません。図解されているためイメージもつかみやすく、初心者がゲーム音源を理解する上で役立ちます。
ディスクシステムのゲーム『ゼルダの伝説』で、効果音が特徴的だったのは波形メモリ音源を用いていたから、ということは恥ずかしながら初めて知りました。だから笛の音とか剣のビーム音とか印象に残る音が多かったんですね。
巻末のインタビューが豪華
巻末には植松伸夫さん、古代祐三さん、崎元仁さんのインタビューが掲載。特に古代さんと崎元さんのインタビューは、当時の曲作りや有名タイトルについての話など、かなり興味深い内容でした。
男女問わずファンの多い植松さん。インタビュー内容は目新しいものはなかったですが、FF7の『片翼の天使』の曲作り方法は個人的に初めて知りました。かなり実験的な作り方だったんですね。
インタビュー中にPC-8801をいじってFM音源の解説をする古代さん。まだ現役でPC-88が活躍しているのは、ゲームミュージック作曲者では古代さんぐらいじゃないでしょうか(*´∀`)
ベイシスケイプ代表の崎元さん。タクティクスオウガやFFタクティクスで有名ですね。著者の方の質問もうまく崎元さんから話を引き出せており、崎元さんファンにとっては必見の内容です。
ゲーム音楽が好きなら持っていて損なし
ファミコン時代からスマホ時代までを網羅している本なので、曲自体を知っていないと厳しい面もあります。曲を知らない場合、できることならその曲を聴きながら見るとより楽しめると思います。
巻末にはゲーム音楽史年表、及び紹介楽曲リストが掲載。楽曲リストは収録されているサントラ名や絶版かどうかの記載もあります。これは今からサントラを手に入れようとしている人には役立つ表ですね。
デジタルな分析が多い分、特定の曲に対しての想いを求めている人には物足りないかも? ただ、こういった『ゲーム音楽全般』をファミコン時代から網羅している本は他に類を見ません。資料的な意味でも、音源を理解する入門書としてもオススメできる1冊です。
何より、ファミコン時代からゲームと共に過ごしてきた自分のような人間にとっては、思い出に浸りつつ、再度ゲーム音楽の良さ、奥深さを認識できました。何より、ゲーム音楽をここまでまとめた本は貴重なので、ゲーム音楽好きは手に入れておくことをオススメします(*´∀`)
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