1冊の中に詰まった知識と愛
仕事中に届いた1冊の本。ネットでポチッたヤツなのですがパラパラと流し読みしていたつもりがガッツリ読んでしまいました…!
OLD GAMERS HISTORY Vol.3 ロールプレイングゲーム 創世記編
RPGは今でこそ一般的なゲームジャンルとして認識されてますが、ゲーム黎明期は見覚えのないジャンルでした。その歴史を形作ってきた作品を丁寧に解説しているのが本書。紹介タイトル数はなんと…
100タイトル!
ドラクエやFFなど有名タイトルに加え、パソコン版ウィザードリィやウルティマなどRPGの元祖と言われる作品もしっかり掲載されています。
▲AppleⅡ版のウィザードリィ。ファミコン版もしっかりした記事量で載っています。
驚いたのが、この2作品より前に作られたRPGがあったということ。
▲『AKALABETH』というRPG。ウルティマの生みの親、リチャード・ギャリオット氏が高校生のときに作ったゲームとのこと。恥ずかしながら自分は本書で初めて存在を知りました。
こういった新しい発見はもちろんゲームの紹介部分がその時代の状況、ゲームが開発された背景などしっかり書かれているので大変わかりやすいです(*´∀`)
■筆者の愛を感じる記事の数々
また、記事内では思わずニヤリとする視点でのキャプションなどがあるのも好印象。たとえばこの記事。
初代FFにあった、街の設置物を調べるときに出るメッセージ。
「いどです。なにかありそうでなにもない いどです。」
初代FF1から遊んでいるおしょ~としてはここをピックアップし、画面写真を入れてキャプションをつけるあたり筆者の愛を感じます。
FF1では他にも噴水を調べたりするとかなりクセのある(ノリとしてはロマサガ1に近い)メッセージが表示されたんですね。
ところが2からは削除されてしまい、個人的にすごく残念に思った記憶が。こういった部分にも言及できるあたりリアルタイムでしっかり遊んできた人が記事を書いていることがわかります。
あとはこの記事とかもそうそう!って思わず膝を叩いちゃうぐらい共感できるとこでした。
ドラクエ2。シリーズの中で最難関のダンジョンと言われる
『ロンダルキアの迷宮』を抜けたあとの展開。高いエンカウント率、強い敵、無限ループの迷宮。それを抜けて「おおー地上だー!」ってなったあと復活の呪文が聞けるほこらまで多少距離があったんですね。
1回敵と遭遇するかしないかの距離なんですが、そこで出会う敵は
・即死呪文のザラキを唱えてくるブリザード
・つうこんのいちげきを出す確率が高いギガンテス
という強敵。結果、ほこらまでたどり付けずに全滅し、
「またあのクソ長いロンダルキアの洞窟を抜けないと行けないのか…!」
心が折れそうになったことも…。
そんな記憶を思い出させてくれるような記載があるのが本書のとても良いところ。一歩間違えばライターのひとりよがりになりますがそのゲームで多くの人が味わった思い出をしっかり把握して書いているんですよね。これ書いた人とお酒飲みながらお話したらとっても美味しいお酒になるんだろうなぁ…(*´∀`)
■有名タイトル以外のRPGも網羅
有名タイトル以外にも、 押さえておくべきRPGも網羅されています。
▲カプコンの超名作『スウィートホーム』。権利の問題でリメイクやDL配信が絶望的な1本。バイオハザードにつながる恐怖感の演出や音楽、演出はすべて一流です。 (関連記事:【ファミコン】バイオハザードの元になったと言われる、カプコンの名作RPG『スウィートホーム』)
▲タイトーの隠れた名作『ミネルバトンサーガ』。ドラクエやFFに負けない完成度を誇っています。傭兵システムなど、独自性の強さではこちらが上かも。 (関連記事:ストーリー良し、音楽良し、システム良し。なのに埋もれたRPG(ミネルバトンサーガ ラゴンの復活))
▲シリーズの始祖、『デジタルデビル物語 女神転生』もしっかり取り上げられてます。(関連記事:【ファミコン】『デジタル・デビル物語 女神転生』。悪魔合体システムをひっさげた、メガテンシリーズの処女作。)
収録されている数が数だけに、読むのはかなり時間がかかります。ただ、時間をかけて見るだけの価値がありますね。最近はレトロゲーム本の発売がかなり多いですが、その中でも良書といえる1冊です。
・少年時代をファミコンと共に過ごした人
・RPGの成立から発展の経過を知識として得たい人
・代表的な名作レトロゲームを把握したい人
には問答無用でオススメ。価格も1000円とお手ごろなので
上記に当てはまる人はちょっと手に入れてみてください。本当に時間を忘れて読んじゃいますので寝る前に読むのは避けた方がいですよー(*´∀`)
……
………
まさかのゲームブックまで網羅
あ、あとここからは非常にマイナーなネタです。個人的に本書の本気度合いというかすげぇ!ココまで網羅するか!って感じた記事がありました。
ゲームブック!
いや、まさか、『火吹山の魔法使い』の名前を本書で見るとは思ってませんでした。
ゲームブックって、本で遊ぶRPGみたいなもので、1980年後半~1990年前半にかなりのブームとなりました。本なので、ゲームを買うよりも安いのと、選択や展開によっていろんな
ルートがあるので何回も遊べるのが魅力的でした。
しっかしこの本を書いたライターさん、おしょ~と同じ年代を過ごしてきたんだろうなぁ、ってつくづく思います。
国産ゲームブックの名作ドルアーガ3部作もしっかり載せています。ギルガメスの相棒となるタウルスとメスロンまで言及していたりクロムの長剣や黒竜の牙などゲームブック独自のアイテムが
あとからゲーム設定に逆輸入された件などまで書いてあります。脱帽です。この人本気です。
果てはテーブルトークRPGについて書いてあるあたり、もう尊敬の念しかありません。ユーザーとしてこの時代を駆け抜け、この時代に味わった楽しさを伝えたい!という想いをすごく感じます。
これに続く『百花繚乱編』も発売済みです!
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