【サントラレビュー No.074】『THE LEGEND OF DRAGON SLAYERS(ドラゴンスレイヤー伝説)』。ファルコム黎明期の名曲が揃った１枚。

ファルコム初期ゲームのアレンジ盤

現在、軌跡シリーズで多数のファンを獲得している日本ファルコム。

今でこそ、家庭用ゲームメーカーとして名前が知られていますが、もともとはパソコンゲームを作っていた会社です。

今日紹介するのは、ファルコム初期のパソコンゲームの曲にアレンジを施したゲームサントラです。

ジャケット裏面には本サントラ内でアレンジされているゲームタイトルが、ロゴとともに掲載されています。

『ザナドゥシナリオ２『ロマンシア』『ドラゴンスレイヤー４』『ソーサリアン』『ソーサリアン追加シナリオvol.1』。

軌跡シリーズでファルコムを知ったユーザーには馴染みがない名前ばかりだと思います。ただ、おしょ～世代にとってはどれもが強い印象を残しているタイトルばかり。

家庭用で例えるなら、スーファミ時代のスクウェアと言ったところでしょうか。それぐらい、当時のファルコムはパソコンゲーム業界において、圧倒的な存在感を放っていましたね。

普通、ゲームサントラのアレンジ盤は、一定の方向性を定めてアレンジが施されることが多いです。

しかし本サントラは曲ごとにいろいろな切り口でアレンジが施されています。荘厳な響きもあれば、激しく疾走感のあるロック調、そしてカントリー風のアレンジが施されているものなど多種多様！

ライナーノーツにも『バラエティに富んだ』書かれているように、ここまで多彩なアレンジが１枚につめ込まれたものは滅多にありません。

選曲の良さも相まって、１枚の完成度としてはかなりのもの！

特に必聴なのは、３トラック目『ロマンシア』の２曲目で流れる『OPENING GATE』とザナドゥシナリオ２の『The Resurrection of Dragon』。

『Opening Gate』は古代祐三氏がロマンシアで唯一作曲を手がけた曲で、もともとファルコム初期作品において外せない１曲なのですが…本アルバムのアレンジは圧倒的！！

音色とスピード感が最高に上手く合わさっているんです。あれほど素晴らしい原曲を、アレンジによりさらに伸ばしているのはものすごい手腕です。

ザナドゥシナリオ２の『The Resurrection of Dragon』は、本サントラの最初に流れるのですが、このアレンジも原曲に勝るとも劣らない珠玉の仕上がり。

他のアレンジもレベルの高いものが揃っており、アレンジ盤としてトップクラスの出来の良さとなってます。

古いゲームの原曲は、若い人にとって馴染みが無いため、もしかすると物足りなさを感じるかもしれません。

しかし本サントラはアレンジ盤。そのため音色も古さを感じることなく聴くことができます。ファルコム黎明期の名曲たちを楽しむ目的ではピッタリの１枚です。

ただ1988年のサントラのため、中古市場に出回っている数がかなり少なくなっています。ファルコムのサントラは再販が多いのですが、本作は権利問題の関係か再販がされていません。

アレンジの多様さを含め、ファルコムの音楽史において異彩を放つ本サントラ。今後も再販がされる可能性も低いため、手に入れておくなら今すぐに動くことをオススメします(*´∀｀)

1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。