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【レビュー】水滸伝・天命の誓い[PC]。天下統一が目的ではない異色のシミュレーション。

更新日:

幻想水滸伝の7年前に発売した、コーエー製作のSLG

光栄(現コーエーテクモ)が制作していた、歴史シミュレーションゲーム『水滸伝』シリーズ。その最初の作品が本作です。

 

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水滸伝 天命の誓い(1988 PC-88)

信長の野望や三國志に比べると、知名度が低いため知らない人も多いはず。

ただ本作『水滸伝・天命の誓い』は他のシミュレーションに比べ自由度がかなり高く、個人的にコーエーのシミュレーションゲームではかなり上位にランクインする名作です。

 

天下統一が目的ではない

数ある国盗り型の歴史シミュレーション。普通は『天下統一』が目的です。しかし、本作は違いました。

朝廷の奸臣『高俅(こうきゅう)』の打倒が目的です。そのためには、別に国を全部取っていく必要は無かったんですね。ぶっちゃけ、高俅を倒せれば国が1つでもOKです。

 

さて、ゲームの流れは、4つのシナリオから1つを選び、その中で設定されている主人公を選びます。

 

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この頃から、コーエーの顔グラフィックは力が入っており、今でもグラフィックだけで名前を思い出すことができます(*´∀`)

で、ゲームがスタートすると…

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国が滅ぶよーと嘆く皇帝さん。

右上の国状況が記されているグラフィックに注目です。赤い国が高俅の勢力。それ以外は他の好漢の領地です。しかし驚くことに、初期状態では主人公の領地は存在しません

んじゃどんな状態から始まるかと言うと…

 

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ま さ か の 逃 亡 中

まるっきり丸腰で高俅から逃げている状態から始まります。まるでTV番組の『逃走中』です。人気も無ければ付き従う無頼漢(普通のSLGで言う武将みたいなもの)も兵もいません。

 

んじゃここからどうするかというと…

高俅の領地から遠い空白地をゲット

そこで獣を退治したり、仲間を集めたりして、人気を上げる

ちょっとずつ勢力を伸ばしていく

力がついたら、高俅の周りの領地へ攻め込み、能力の高い無頼漢をゲット

皇帝から打倒高俅のお墨付きをもらう

高俅倒すぞ―!

という流れになります。

でも、主人公一人ではどうにもならないため、人材確保に奔走することになります。

 

人気がとにかく重要

このゲーム、1にも2にも人気が重要です。

能力の高い無頼漢は、主人公の人気が低いと仲間になってくれません。高俅の国にいる無頼漢は能力の高い人材ばかりのため、生半可な戦力では返り討ちに…。

 

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というわけで、最初は能力の低い人材もガンガン登用。普通のシミュレーションに比べ、とにかく人材確保をしないと勢力も増やせない=人気が増えません。

コイツ使えないなーという人材も誘って仲間にし、国を増やして獣退治をしつつ人気を増やし、さらに能力の高い人材を仲間にする。能力の高い人材が来れば、低能力人材は前線から外れ、資源を生み出す国に送り込まれてオートで働くようになるあたり、現実のような世知辛さです。でもCPUの運営する国に送り込んで資源を生み出す役目

 

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他歴史ゲームに比べると、地域の人々と接するようなコマンドやグラフィックが見受けられます。このどこか牧歌的な雰囲気は本作の大きな特徴であり、魅力でした

獣が出て、退治しに行ってケガをしても「アイツ、自分の身の危険も顧みないで退治しにいったからまぁ」的な感じで、人気がちょっぴり上がる部分などはゲームながら人間味を感じる要素ですね。

 

戦闘時の『天気』が超重要

本作の戦闘は、基本的に同時期に発売していた信長の野望や三國志とあまり変わりません。

しかし、水滸伝の戦闘では『天気』を絶対に気にしながら戦う必要があります。

 

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というのも、天気が曇り時限定で知力80以上の無頼漢は『妖術』が使えるようになるのです。

この妖術、非常に攻撃力が高い上に、食らった無頼漢は数ターン行動不能に陥ります。相手にワラワラと群がったときに妖術を食らうと、一気に逆転負けするぐらいの破壊力

特に公孫勝、呉用、朱武など知力90以上の無頼漢は要注意。

妖術の範囲が1マス広がるため、曇りになったときの恐ろしさはハンパないです。こういった一発逆転の攻撃は他のSLGと一線を画しており、水滸伝らしさを感じさせてくれる独自要素でした。

 

2作が発売されたあと、シリーズは途絶

今でも続く三國志、信長の野望シリーズ。

しかし、水滸伝はシリーズが2作発売されただけでシリーズとしての命脈は絶たれています。

 

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高俅を倒すと見られるエンディング。108星の異名と名前が順に表示されていきます。原作では高俅を倒せず、梁山泊は壊滅してしまうんですよね…。ゲームとしての水滸伝に照らし合わせると悲しい感じです。

 

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もともと物語の知名度が三國志に劣るため、今後も復活することは無いでしょう。ただ、本作はコーエーの歴史シミュレーションとして非常に良くできていました。

1人の人物が仲間を集め、地域の住民に協力し、人気を獲得し成り上がって目的を達する。他のシミュレーションにはない、1からの成長が感じられるシステムは、今遊んでも楽しめること請け合いです。

真・三國無双もシリーズを重ねてきたことですし、ここは新しい無双シリーズとして『真・水滸無双』を投入して新規ユーザーを獲得。晴れて水滸伝シリーズがSLGで復活!なんてことを祈りつつ、本記事のシメとさせていただきます。

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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