賛否両論あったリメイク版が発売
スーパーファミコン(SFC)の全盛期に発売し、サウンドノベルというジャンルを世に知らしめた『かまいたちの夜』。
そのフルリメイク版である『かまいたちの夜 輪廻彩声』が2/16 に発売しました。SFC版プレイ済みのためサクサクとプレイ中です。
原作をリアルタイムで遊んだ人間として、いろいろな意味で興味がありました。そして原作が大好きだからこそ、今回のリメイクをプレイしてみて自分自身がどう感じるか? それが一番気になっていました。
現在プレイ時間は5時間程度。VITA版の良いところ、気になるところが自分の中で整理できたのでレビューします。
良いところ1:ボイス付きで臨場感アップ
ボイス無しのSFC版に比べ、VITA版はフルボイス仕様です。
これにより、各キャラの感情度合いが直接的につかみやすくなっています。この人はこんな声してたのか~と各キャラが出るたびに自分の脳内イメージとのすり合わせをしていくのは新鮮でした。
今日子さんの声がちょっと若すぎかな?というぐらいで声優さんの演技も概ね申し分ありませんでした。特に透、真里は素晴らしいですね。俊夫さんもいい味出してます。
良いところ2:真里が可愛い。とにかく可愛い。
可愛い…!(3回言った)
原作を凌駕しているなと強く思った部分です。
グラフィック実装により、各キャラに具体的なビジュアルがつきました。SFC版の特徴だったシルエット表現からの大きく変わった部分であり、発売前にあーだこーだ賛否飛び交う状態でした。
イメージの固定化だーとか絵が好みじゃない、とかネットでいろいろ言われていましたが…
いやこれ最高に可愛い…!
原作組としては芯が強くて勝ち気な女性、というイメージが強くありました。その要素は踏襲しつつ、グラフィック追加により可愛らしさが格段にアップしています。声のイメージもピッタリだったので真里が出てくるたびになんか幸せな気持ちになりながらプレイすることができます。
この可愛さはSFCのシルエットでは絶対に太刀打ちできない部分であり、今回のリメイクの大きなウリですね。
いや、OL三人組の可奈子ちゃんやみどりさんも可愛いんですが、やっぱり真里が一番でした…!
▲モバイル版かまいたちの夜のシナリオ【A Novel】も収録。黒のタートルネックとかほんとツボすぎて困ります。
絵を担当したのはイラストレーターの有葉さん。とにかく真里を筆頭に出てくる女の子が可愛いため、絵が気に入ったなら買いで問題ないでしょう。
良いところ3:システム周りの快適化
スキップ機能ややシーンメッセージ読破率などはひと目でわかるようになってます。操作レスポンスも良く、操作周りでストレスを感じることは一切ありません。
SFC版になかったフローチャートはPS版では追加されていましたが、今回もしっかり実装。このへんはそつなく改良されてます。シーンメッセージや選択肢の回収もらくらくです。
気になるところ1:SFC版で効果的だった、細かいこだわりが再現されてない
ただ原作組として、ここはこだわってほしかった…! と思えた部分もありました。
『こんや 12時 だれかがしぬ』
というメッセージが表示される、本作を印象づけるシーン。
この場面、SFC版だとワードごとにしっかりウェイトが入ります。また、最後の『しぬ』が表示されるのと同時に効果音が流れ、怖さを増幅させる仕掛けがほどこされていました。
ただVITA版だとウェイト無しでメッセージがすらすらと表示されちゃうんですよね。このシーンは恐怖を煽る大きな転換点だったため、表示の仕方はこだわってほしかったです。
猫のジェニーが物置から出てくる場面や通路の向こうを人影がよぎるシーン、また二階へ上がるときに◯◯さんが死んでいるところなども気になりました。
これらの場面、SFC版では動きのある演出が使われておりプレイヤーに強い印象づけ&怖さを与える効果がありました。しかし、VITA版では止め絵だったり、演出自体が文字のみだったりしてパワーダウンしていたのが残念でした。
あと個人的にはチャイムの後、入り口で◯◯さんの手が出ているシーン。ここが背景絵だけで済まされていたのは本当に残念です。あそこは手が出ているグラフィックがあってこそ、最大の破壊力があったのに…と思います。
気になるところ2:SFC版で効果的だった演出の削除や弱体化
VITA版を遊んでいて感じたのは、全般的に恐怖や疑いに囚われるシーンの演出が弱いです。もちろん原作プレイ済みということもあるのですが、それを加味してもちょっと弱いんですよ。
まず、なんといってもSFC版で光っていた『紫のもやもや』演出。
この演出です。これ、プレイヤーに恐怖を感じさせる演出として、SFC版ではめっちゃ効果的でした。
ところがVITA版だと…
これははっきりいって改悪です。紫のもやもや演出に比べると、プレイヤーが受ける恐怖が薄くなってしまっています。何がなんだかわからない、誰が犯人なんだ…という迷いや狂気感が弱いんですね。
また、BGMと効果音がデフォルト設定だと低いのもそれに拍車をかけています(PS VITA TVでのプレイでそう強く感じました)
0から100の設定で共に50に数値が合わせてあるんですが、80ぐらいは無いとダメかなーと。デフォルトのままだと『ブゥ~~~~~ン』という印象的な低音がかなり聞こえづらく、絶望感が薄れてしまいます。昔はブラウン管TVでのプレイだったため、TVについているスピーカーもそこそこ重低音がしっかり聴こえました。ただ現代は液晶TVの時代。普通、液晶TVのスピーカーは薄さもあって性能が良いとは言えません。そのあたりも考慮して音量設定をしてほしかったです。
結論:原作プレイ済みでも十分楽しめる。初見ならよりオススメ
まず、プレイしていて思ったのは
『かまいたちの夜』はシナリオ構成の出来がとにかく良い、ということでした。
「ああやっぱここは騙されるよなー」「真相へたどり着く選択肢や流れとかニクイなぁ」とかとか、当時の自分の記憶を呼び起こしながらプレイしていくのは本当に楽しいです。
リアルタイムで遊んだときはまー騙され疑心暗鬼になり、あの『ス◯ッ◯END』で幕を閉じました。あの衝撃は20年以上経った今でも未だに忘れることができません。
そんな想い出が蘇ってくるのも心地よいですし、ボイス&グラフィック新生での効果も想像以上にあり、自分のように真相を知っているSFC版リアルタイム組でも十分楽しめるリメイクになっています。
また、原作未プレイの人はかなり衝撃的だろうなーと感じます。Z指定なこともあり、死体描写もかなり直接的です。何より、まずバッドエンドに直行するはずなので、若いプレイヤーは攻略情報などを見ずプレイして欲しいです。個人的には初回プレイでバッドエンドになるからこそかまいたちの夜は面白いんだと思います。
犯人を知らない初見状態で本作をプレイできるのは未プレイ者の特権なので、興味があるけど手を出してない…なんて人もぜひプレイしていただければと思います!
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・【レビュー】かまいたちの夜[SFC]。サウンドノベルを確立した記念碑的ゲーム
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