『朧村正音楽集変奏ノ幕』。ゆったりとした『和』を味わうアレンジ版【ゲームサントラレビュー No.095】

朧村正のサントラでは２枚目

ヴァニラウェア製作、ベイシスケイプが音楽を担当したゲーム『朧村正』。サントラは全部で３枚(2015/12/28現在)出ていて、今回紹介するのは２枚目となります。

神谷盛治さん描きおろしのジャケット。妖しい雰囲気の紺菊が色っぽいです。本サントラはアレンジ版となっており、全14曲が収録。新曲やライブVerもあり、アレンジ版としては曲数が多い１枚です。

ゲームサントラのアレンジ版は原曲に忠実なものから大幅なアレンジを施したものまでいろいろありますが、本サントラは大幅アレンジに分類されます。和の雰囲気は保ちつつ全体的にスローテンポになっているのが特徴です。

たとえばステージ道中の曲として耳にすることが多かった『前後不覚』。ゲームではそこそこのテンポがあり、軽快に動きまわる鬼助や百姫の姿とマッチしていました。

それが本サントラではかなりゆったりと落ち着いたアレンジに。笛の音が目立つ仕上がりなので最初耳にしたときはおおっ？と違和感を感じるかもしれません。

また個人的に一番好きな『雪月風花』。これはものすごく大人なアレンジになっています。管楽器こそないもののジャズを感じさせるピアノを織り交ぜた、和洋折衷な曲に生まれ変わっていたので驚きました。

本サントラの企画を立ち上げたベイシスケイプ工藤さんのコメントにもあるように『原曲と違った角度から光を当てる』というのがコンセプトの１つとなっています。そのため、原曲がめっちゃ好み！という人はもしかしたら耳に合わない可能性もあります。

ただ、それが本サントラの味とも言えるので、朧村正の世界にゆったり浸りたい人にオススメです。

ライナーノーツには開発中に没となったボスキャラのイラストが載っています。

▲九尾の狐。今にも動き出しそうな迫力ですね(*´∀｀)

それに対するヴァニラウェア神谷氏のコメントもしっかり掲載。わざわざこのサントラのために描き起こしたものもあるなど、世に出ることがなかった朧村正の世界を楽しむことができます。

これらゲームに登場することがなかったボスの曲も収録されているのが面白いです。DLCは終了しましたが、いつか朧村正がリメイクされるときがあればこれらのボスを本サントラの曲と共に入れて欲しいですね。

かなりアレンジが施されているため、１枚目のサントラ『朧村正音楽集』、３枚目の『朧村正元禄怪奇譚音楽集』を先に買ってから、余裕があれば本サントラに手を出すといいでしょう。

もちろん、ベイシスケイプや和風ゲーム音楽が好きならまず買っ間違いなしの１枚！お正月に流して和の心を感じてみるのも一興です(*´∀｀)

1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。