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コンシューマゲーム

『かまいたちの夜 輪廻彩声』名作のリメイク騒ぎについて考える

更新日:

スーパーファミコンの名作アドベンチャーが装いを新たにして登場

かまいたちの夜1

『かまいたちの夜』はスーパーファミコン(SFC)の超名作アドベンチャーで、サウンドノベルの地位を確立させた記念碑的ゲームでもあります。

そして今回、5pb.から『かまいたちの夜 輪廻彩声』というタイトル名でリメイクされ発売することになりました。特徴的だったシルエット表現は撤廃され、イラストレーターの有葉さんが起用され登場人物たちがシルエットではない形で描かれています。

 

イラスト1
▲透と真里。今の時代を反映した絵柄となってますね。

ただ『シルエットを無くす』『イラストレーターの採用』『ボイスあり』など大きな変更がネットで話題になり、結果として有葉さんがツイッターで謝罪するまで騒ぎが大きくなりました(参考記事:「かまいたちの夜」リメイク版に不満続出、イラストレーターが「申し訳ない」と謝罪する事態に 「あなたは悪くない」という声も(ねとらぼ)

 

おしょ~は『かまいたちの夜』を実際に購入し、リアルタイムで遊んだ世代です。本当に夢中になり、繰り返し繰り返し百回以上はプレイしていて、思い入れも深いです。

 

イラスト2

そんな自分がこの絵柄を見たときの感想は「おおー、けっこう今風でいいじゃん」でした。

なので、イラストレーターさんが謝罪したのは困惑でした。なんでそんな騒ぎになっちゃってるのかなと。

 

発売する前、プレイする前からクソ!という人はちょっと考えて欲しい

ツイッターで検索してみると、『絶対クソ』とか激しい言葉で避難している人がいます。原作のシルエットが想像力を働かせるのも、イメージと絵が違って怒る気持ちもわかります。

ただ、本作って原作ファンがターゲットなのでしょうか?

おしょ~は第一報の透と真里のイラストを見た時、ターゲットが自分のような原作プレイ組ではなくライトノベルを読む若い層なんだなーと理解しました。今風の絵、真里が色っぽい(特に胸元)人物なのもライトノベルの表紙っぽいです。

Googleで『ライトノベル 表紙』というワード検索をしてみると…

 

ライトノベル 表紙
これはほんの一部。どれも女性が描かれておりかつ色っぽいものも多いです。今回の公開イラストも似た雰囲気を感じます。原作ファンをターゲットに据えているなら、こういったラノベ風の絵柄にはしなかったでしょう。

今回のリメイクは『名作ってのは知ってるけど、プレイしたことがない』という若い新規層に売れれば成功です。

 

 

オリジナルから26年たった現在、原作を尊重した形で発売してもあまり意味がない

kamaitatinoyoru2

SFCで『かまいたちの夜』が出たのは1994年。今から26年も前です。

そしてこの間、いろいろな機種に移植されてきました。現在もバーチャルコンソールでプレイできるため、原作をプレイしようと思えば遊べます。ただこれで新規ユーザーが増えるかといったら微妙です。

ファミコン世代が年齢を重ねてきているのでゲームプレイヤー層は上に広がりを見せていますが、メインのゲームユーザーは時間がある若年層。その世代に向けての新施策として、今回のかまいたちリメイクがあるわけです。

原作のシナリオを担当した我孫子武丸さんもツイートしているように

これまでのファン』は『シルエット表現がベスト』

ですが

これからのファン』にとって『シルエット表現がベストとは限らない』

んですよね。

 

kamaitatinoyoru5
▲原作のシルエット表現。

これ、想像力を掻き立てる意味ですごく効果的です。ただ今の若い世代は動画世代。直接的に情報を取得するのが当たり前な世代です。そういう人たちに『シルエットが最高だ!』という価値観は、古いものの押し付けと言えるのかもしれません。

原作のテイストを尊重して移植しても、若い世代が興味を持ってくれなかったら意味がありません。そのため、今回原作の良さを承知した上であえて大きな表現変更に踏み切ったことに価値があるのではと感じます。

 

名作を知ってもらう機会

長期的に見てリメイク版を遊ぶプレイヤー、原作にも興味が出るプレイヤーがいるでしょう。そして実際原作を遊ぶ人も必ず出てきます。
イラスト3
▲シルエットで無くなった分、凄惨な舞台が直接的なインパクトが強くなったのは個人的に高評価。

 

結果として原作に触れるユーザーが増えるため、原作至上主義の人にとっても今回のリメイク発売は実は喜ぶべきことなんですよね。そういった意味で今回のリメイク騒動は違和感が大きかったです。

 

ネットでは否定的な話題や意見が注目されたり取り上げられがちです。ただ、その声に乗ったり、自ら発信する前に本当にそれらの怒りなどを拡散していいのか?ということを自問自答してみるのがいいかもしれません。

世の中に怒りを振りまくと、その怒りが拡散されて同調したり、同じように怒りを周りに撒き散らす人が出てきます。それって世の中にプラスにならないんじゃないかなと。

それより、自分が楽しいと思ったこと、好きなことを伝えるほうが幸せな人生なんじゃないかって最近良く思います。

 

イラスト5

長文になりましたが、おしょ~的に今回のリメイク版『かまいたちの夜』は購入決定です。

原作の良さを知った上で新しい層を掘り起こすために、反発覚悟でリメイクしてくれることに感謝するとともに、発売の暁には原作リアルタイム体験組としてしっかりレビューしたいです。

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1976年、東京都福生市生まれ。幼少時からゲームに親しみ共に過ごす。プログラマ、ゲームシナリオライター見習いなどを数々の職業を経て現在、東京都にあるゲーム専門店PAOで販促企画を担当。ゲームの面白さをもっと世の中に伝えるべく、ブログ『激コアゲームライフ』を運営中。

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